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角膜創口作成

更新日:2021年11月26日

スリットナイフの幅と同じ長さのトンネルを作ることが傷口の強度維持に最適とされていますが、術中器具の操作性や前房内の視認性からもう少し短くて良いと思われます。



角膜輪部で虹彩に平行にナイフを刺入させ角膜切開を行うと、トンネルの長さは大体1mmになります。この為、上方に角度を付けて穿刺すれば1.2mm以上の長さのトンネルは容易に作成できます。トンネルの長さと切開の幅の比が0.5以上有れば自己閉鎖は可能です。2.4mmの汎用されているスリットナイフを使った場合は虹彩や水晶体の面に対してやや上方に角度をつけてナイフを穿刺すれば1.2mm以上のトンネルが作成できます。

角膜内方弁が角膜中央寄りになり過ぎると術中角膜に皺がよって視認性不良となる事と術後の乱視が強くなるため避けるべきです。乱視軸に合わせた切開部位で手術を行う術者もいますが、超音波チップの挿入部位を0-180度と変更しなければならずかなりの熟練が必要です。上方角膜切開を選択した場合、高齢者に於いては結膜が角膜輪部を超えて角膜をかなりの範囲で覆っている場合があります。こうした症例では、結膜を温存しての角膜切開を行うと内方弁が瞳孔領に掛かってしまい、術後乱視、グレアを誘発してしまいます。この為、角膜輪部から結膜を貫いて角膜切開を行います。この場合、結膜切開を左右に広げないと術中必ず結膜浮腫が起こります。。

経結膜一面切開後には、結膜切開を広げないと術中に結膜浮腫が起こり手術が難しくなるため結膜切開が必要です。切開方法は動画の様に、角膜トンネルの延長線上に結膜切開を加え創口開口部より更に角膜よりまで切開することがコツです。穿孔後強角膜創口開口部まで引き抜いたスリットナイフで結膜のみを切り上げるように切開します(ビデオ)。

超音波乳化吸引中や皮質吸引中には、角膜創口の両端から灌流液が勢いよく流出し、その液が結膜下に迷入することで結膜浮腫が起きます。結膜は、伸縮性が高く2.4mmのスリットナイフで貫いても、2.4mmより短い切開幅にしかなりません。このため、強角膜創口両端は結膜に覆われていて強角膜創口から流出した灌流液は必ず結膜下に迷入し行きます。

浮腫予防には、この流出液が結膜上に流れる様にすれば良いわけです。解剖学的に角膜輪部近傍の結膜、テノン嚢、強膜はお互いに強く癒着しているため、その癒着を剥離しない方法でかつ創口を結膜が覆わないように切開を行うことが必要です。




角膜創口の作成部は角膜上方の場合は角膜輪部から角膜頂点に向けてトンネルの長さを考慮してスリットナイフを直線的に進め切開を行います。3面切開と称してナイフに角度を1面、2面、3面と付けて切開を進める年配の先生がいらっしゃるが、それは全く意味をなしません。3面切開の作成は、クレッセントナイフを使って行わないと作成できません。






角膜厚や角膜曲率半径は患者さん毎千差万別であるため、スリットナイフの角膜への入射角を一定にしてもトンネルの長さがいつも一定とはなりません。このためトンネルの長さを決定する何らかの指標が必要ですが、スリットナイフがデスメ膜を貫く場所を指標にするとわかり易いと思います。スリットナイフが前房に刺入される直前に、刃先がデスメ膜を押す一瞬が有ります。ゆっくりとナイフを進めると分かりやすいので試してみて下さい。角膜実質をナイフが貫いて行き前房に刺入する直前にデスメ膜を貫くのですが、デスメ膜を貫く直前にデスメ膜をスリットナイフの刃先が軽く押す瞬間にディンプルが現れます(図10)。その場所がナイフの前房への刺入部です。この指標を使ってトンネルの長さを調整すると毎回同じ長さでのトンネルを作ることができます(図10-1,2,3)。マニーからナイフ前面に1.5mmと2.0mmの長さ指標が刻印された物が入手出来るので(図10-1,2,3)、それを使うとトンネルの長さ感覚は養えます。この時眼圧が高すぎたり低すぎたりすると、ディンプルが確認できないためOVDにより適切な眼圧を保つ様にしてください。

ディンプルを指標にした時、トンネルの長さが長過ぎた場合は、ナイフを戻してトンネルの長さを適切なものとします。短過ぎた場合も同様にナイフを少し戻してからナイフの刺入方向を調節してトンネルの長さを決定します。戻さずに方向だけ変えてもほぼトンネルの長さは変わらないので一度ナイフを戻してから方向を変えてトンネルの長さを調節することがコツです。誤ってナイフ先端を少しだけ刺入してしまっても、もう一度先端部を戻して再度適切なトンネルの長さを決めて刺入し直すことも可能です。 このやり直しができるのもゆっくりとしたナイフの刺入をすることで可能となるので前房穿刺はゆっくりした手の動きで慎重に行ってください。



スリットナイフを水晶体方向に先端を向けて刺入させる術者が多いですが、それをすると角膜切開創の内方弁は三角に尖った形(図11①)になりトンネルが短くなってしまいます。トンネルの長さが全幅で同一になるためには、内方弁が円弧状である必要が有ります(図11②)。この様な切開を行うためにはコツがあります。スリットナイフの先端がデスメ膜を貫いたら先端をやや角膜頂点方向に向けて切開を行うと内方の切開線は円弧状になります。あまり上方に向け過ぎるとデスメ膜剥離を起こすためやや上方に向けるだけで目的は達成されます。初心者は、スリットナイフが前房に刺入後はスリットナイフの先端を角膜頂点方向に向けると再度角膜にスリットナイフが突き刺さると信じている様ですが、そんなことは決して起こりません安心してください。(図12)❶の角度でナイフを刺入させ❷の方向に刃先を向けないと角膜とは接触しません。この角度までスリットナイフを傾けると角膜から強い抵抗を受けるため内皮損傷は極稀です。




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